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相続税の申告が不要なケースとは?相続税0円でも申告が必要な4つのケースも解説!

更新日:22 時間前

亡くなった人(被相続人)が残した現金や不動産などを相続しても、必ず相続税がかかるわけではありません。相続した遺産の総額が相続税の基礎控除額を下回っている場合には、相続税の申告や納税は不要です。


ただし注意したいのは、控除や特例を受けるためには申告が必要になるケースがあるという点です。「自分は相続税がかからないから」と思い込み申告を省略すると、結果的に無申告扱いとなり、延滞税や加算税が課されるおそれもあります。


本記事では、

  • 相続税の申告が不要となるケース

  • 相続税は非課税でも申告が必要なケース

  • 申告をしていなかった場合のリスク

について、税理士の視点からわかりやすく整理します。


「自分のケースでは申告が必要なのか」を判断するための参考として、ぜひ最後までご覧ください。




相続税の申告が不要なケースとは?



相続税の申告が必要かどうかは、相続財産の合計額(=正味の遺産総額)が基礎控除額を超えるかどうかで判断します。


この正味の遺産総額が基礎控除額を下回っていれば、相続税の申告・納税は不要です。

●正味の遺産総額とは?

正味の遺産総額とは、相続税の課税対象となる財産の合計額から、被相続人(亡くなった人)の債権および相続人の葬式費用等を差し引いた金額を指します。

つまり、プラスの財産だけでなく、マイナスの財産も考慮した“実際の遺産額”のことです。

以下、相続税の申告が不要な3つのケースについて解説します。



正味の遺産総額が基礎控除額を下回る場合


相続税がかかるかどうかは、「正味の遺産総額」と「基礎控除額」を比較して判断します。


基礎控除額は以下の式で計算します。

【遺産にかかる基礎控除額の計算方法】

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

たとえば、相続人が3人の場合の基礎控除額は「3,000万円+600万円×3=4,800万円」です。

この場合、正味の遺産総額が4,800万円以下であれば相続税の申告は不要です。


ただし、不動産や非上場株式などの評価方法によっては、思わぬ金額の差が出ることもあります。基礎控除の範囲内かどうか微妙な場合は、税理士などの専門家に確認すると安心です。


相続税の計算方法や相続税の課税対象となる財産については、以下の記事で詳しく解説しています。


関連記事:【一覧あり】相続税の対象になる財産・ならない財産とは?計算方法もくわしく解説



控除の適用で税額が0円になる場合(障害者控除・未成年者控除など)

相続税の計算上、基礎控除を超える財産があっても、税額控除を適用することで最終的に納税額が0円になるケースがあります。


なかには税額控除を適用するために相続税の申告が必要な種類もありますが、以下の控除は申告不要です。したがって、適用した結果、税額が0円になる場合は相続税の申告自体も不要となります。


  • 障害者控除85歳未満の障害者の相続人がいる場合、1年につき10万円(特別障害者である場合には20万円)を、満85歳になるまでの年数分を控除できます。

障害者控除額:(85歳-相続発生時の年齢)×10万円


  • 未成年者控除未成年の相続人がいる場合、1年につき10万円を、満18歳になるまでの年数分を控除できます。


未成年者の控除額:(18歳-相続発生時の年齢)×10万円


ただし、他の控除や特例を併用する場合は、適用条件を正確に確認しましょう。




相続税はかからなくても申告が必要なケース


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相続税で注意したいのは、必ずしも「相続税0円=申告不要」ではありません。


相続税には多くの特例・控除制度があり、なかには申告をしなければ適用を受けられない制度があります。


特例・控除の適用によって相続税の納税額が0円になる場合でも、申告書を提出していなければ控除・特例が無効になるケースがあるという点に注意が必要です。


以下、適用するには相続税の申告が必要な特例や控除について解説します。本来0円で済むはずだった相続税を満額で納めることにならないように、事前に確認しておきましょう。



1.配偶者控除(配偶者の税額軽減)を適用する場合


被相続人の配偶者が遺産を取得した場合、「1億6,000万円」または「課税価格の合計額に配偶者の法定相続分をかけた金額」までは相続税がかかりません。これを配偶者控除(配偶者の税額軽減)といいます。


この控除を適用すれば、配偶者の相続分が最低1億6,000万円までであれば配偶者の相続税は0円になります。


ただしこの軽減措置は、税務署に相続税の申告書を提出して初めて適用される点に注意が必要です。申告を行わなければ控除は認められず、結果として本来かからないはずの税金が課されることもあります。また、期限を過ぎた場合には延滞税や加算税が発生するおそれもあります。


したがって、納税額が0円になる場合でも相続税の申告書と必要書類を必ず提出しましょう。



2.小規模宅地等の特例を適用する場合


「小規模宅地等の特例」とは、被相続人が住んでいた自宅や、事業用に貸付していた土地については、一定の要件を満たせば最大80%(貸付事業用の宅地等は50%)評価額が軽減される制度です。


小規模宅地等の特例に関する利用区分

たとえば、3,000万円の評価額の居住用宅地でも、この特例を適用すれば600万円まで評価額を減額できます。


ただし、この特例を受けるためには相続税の申告書を期限内に提出することが前提です。


「相続税が0円だから申告しなくても大丈夫」と判断してしまうと、特例が適用されず、本来は支払う必要のなかった相続税を負担することになりかねません。適用を希望する場合は、忘れずに申告を行いましょう。




3.相続税の寄付金控除を適用する場合


相続や遺贈により取得した財産を、相続税の申告期限までに国・地方公共団体・特定の公益法人などに寄付した場合、その寄付した財産については相続税が非課税となります。


これを相続税の寄付金控除といい、節税効果の高い制度のひとつです。


ただし、寄付金控除の適用を受けるためには、寄付の明細を証明する書類を添えて相続税申告を行う必要があります。申告をしないまま寄付しても、控除は適用されないため注意が必要です。




4.農地等の納税猶予の特例を適用する場合


被相続人が所有していた農地等を相続した場合、相続人が引き続き農業を継続し一定の要件を満たす場合に限り、相続税の納税が猶予されます。将来的には、一定の要件に該当した場合に限り免除となることもあります。


このほかにも、事業承継税制による特定事業用資産の納税猶予特定計画山林の特例など、申告が必要な特例・控除があります。


これらはいずれも、申告を行わなければ適用が受けられない制度です。

控除や特例を活用する際は、申告漏れを防ぐためにも税理士と適用条件を確認して進めることをおすすめします。




相続税の申告をしていなかった場合どうなる?|自己判断のリスクとは



「相続税はかからないはず」と自己判断して未申告のままにすると、後日、延滞税加算税がかかり、想定以上の負担になることがあります。


ここでは、相続税の申告をしなかった場合に起こり得る主なリスクを整理しておきましょう。


延滞税や加算税が課せられる


相続税の申告期限は、相続の開始があったことを知った日(被相続人の死亡した日)の翌日から10か月です。


申告期限を過ぎて申告・納税を行うと、法定納期限の翌日から納付する日までの日数に応じた延滞税を納付しなければなりません。申告が不要か迷う場合でも、早めに専門家へ相談して判断することをおすすめします。



税務調査が入る・追徴税が課せられる可能性がある


申告漏れや名義預金の見落としがあると、税務調査が行われる場合があります。


税務調査を受けた後に期限後申告をした場合や、税務署から申告納税額の決定を受けた場合には、納付すべき税金のほかに、納付すべき税金に15パーセントの割合を乗じた金額の無申告加算税がかかります。


ただし、納付すべき税金が50万円を超え300万円までの部分は20パーセント、300万円を超える部分は30パーセントの無申告加算税が発生することは知っておきましょう。「相続税がかからない」と自己判断する前に、専門家に確認しておくと安心です。




相続税の申告が不要でもやっておくべき手続き



相続税の申告が不要な場合でも、特に「名義変更」と「遺産分割協議」はやっておくべき手続きといえます。早めに進めておくことで安心して進められます。



不動産の名義変更(相続登記)


相続によって取得した不動産は、法務局で名義変更(相続登記)を行う必要があります。令和6年4月からは、相続登記の申請が義務化されており、正当な理由なく相続した不動産を放置すると罰則が科されることもあります。


相続税の有無にかかわらず、登記の放置は売却・担保設定・相続人の追加発生時に大きな障害となることもあるため、早めの登記でトラブルを防止しましょう。



遺産分割協議と遺産分割協議書の作成


相続人全員で遺産の分け方を話し合うのが遺産分割協議です。相続人同士の話し合いは、感情や状況が絡むため、思いのほか時間がかかることがあります。


特に不動産の評価や分割割合に関しては意見が分かれやすく、話し合いがこじれてしまうケースも少なくありません。そうしたトラブルを防ぎ、円満に・スムーズに協議を進めるためにも、早めに税理士へ相談することをおすすめします。


相続税に精通した専門家が関与することで、

  • 税負担を踏まえた分割方法の提案

  • 必要書類の整理や作成サポート

  • 各種控除・特例の適用確認

などを行いながら、相続人全員が納得できる形での分割を実現できます。


合意内容がまとまったら、遺産分割協議書を作成し、相続人全員が署名・押印します。


この書類は、以下の手続きの際に必要な提出書類です。


【遺産分割協議書が必要になる手続き】

  • 不動産の名義変更(相続登記)

  • 銀行預金の解約・名義変更

  • 証券口座の名義変更

  • 控除・特例の適用


相続税の申告が不要な場合でも、遺産分割協議書は必ず作成・保管しておきましょう。



まとめ|「相続税がかかるかどうか」は税理士に相談しよう


本記事では、相続税の申告が不要なケースや相続税は非課税でも申告が必要なケース、相続税の申告をしていなかった場合のリスクについて解説しました。


基礎控除額との計算上は相続税がかからないと思っても、控除や特例を適用するには申告が必要なケースがいくつかあります。また、活用する控除や特例の適用要件の判断は専門的で、ご自身だけでは見落としが生じやすい部分です。


そのため、「自分の場合は申告が必要かどうか」を判断する際は、一度税理士に確認しておくことが大切です。


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