税務調査と書面添付
書面添付とは「税理士の保証書」です。弊社では書面添付をご希望の方に添付しております。
書面添付に関するご質問の中には誤解もあります。そこで、書面添付のご説明とよくある誤解を解いていきます。
1.書面添付とは
書面添付とは「税理士の保証書」です
書面添付とは税務調査の手続きに関するものです。
通常の税務調査と比べますと、実地調査を行う前に税務署と税理士事務所が話し合う機会(意見聴取と呼びます)が与えられている事が特色です。意見聴取で税務署の疑問が解ければ実地調査は行われず、税務調査は終了となります。意見聴取でも疑問が解けず実地調査が必要と税務署が判断した場合、実地調査が行われます。
※実地調査:亡くなった方のご自宅などに税務署の調査官が赴いて行う税務調査。相続人の代表および相続人全員の立ち合いが求められ、通常、税理士が立ち合い相続人たちを補佐します。
書面添付を行うと面倒な実地調査が無くなる効果が見込めます。
添付書面に虚偽の記載があった場合、税理士に罰則が与えられます。これにより書面添付を回避する税理士もおり、また業務品質の高さのアピールに利用する税理士もいます。
※添付書面:書面添付制度に基づき作成した書面の事を指します。
2.よくある誤解
書面添付によくある誤解
このような特色を持つ書面添付制度なので、以下の2つのような誤解をされる方がおられます。
1.書面添付を行えば、税務調査が無いから安心
実地調査が必ず無くなるわけではありません。意見聴取の後、実地調査に移行するかどうかは意見聴取の内容によります。
意見聴取後に実地調査に移行した例もありますから、絶対に大丈夫とは言えません。
また、意見聴取時に生命保険金や預金、相続時精算課税制度を用いた贈与の漏れを指摘され、修正申告を行う事で実地調査が行われなかった、という事もあります。
2.罰則を承知で書面添付を行っているのだから、書面添付の申告書は品質が高い
書面添付を行うのですから、確かに高品質かもしれません。しかし、財産の漏れが無いこと、申告内容が正しい事の証明にはならないのです。また、土地評価の評価減項目を漏れなく盛り込んでいるかどうかは、書面添付とは別問題です。
3.税務調査される割合
概ね20% 5件に1件の割合
概ね20% 5件に1件の割合で調査に入っています。ただし、この確率は遺産額が1億円未満の方も30億円超の方もまとめて出した確率ですから、あまり意味がありません。
国税庁は発表しておりませんが、遺産額と申告内容に応じて調査に入る割合が異なることが我々の業界ではよく知られております。元調査官の方と話をしても同じような事を指摘されます。したがって、遺産が多い方ほど調査が多く、遺産が少ない方ほど調査が少ないという状況です(具体的な割合は開示されておりません)。
弊社の税務調査の実績は1~2%です。100件に1~2件の割合で調査がありました。
税務調査は申告期限から1年後前後に行われる事が多いです。しかし、2年以上経過した後に行われる事もありますから、「1年経てば大丈夫」とは言いきれないところがあります。
また、申告期限から5年経過すると時効となり、原則的に調査は行われません。