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相続税申告の流れを徹底解説!10か月以内にやるべき6ステップと注意点まとめ

更新日:5 日前

相続が発生すると、一定の財産額を超える場合には相続税の申告と納付が必要です。しかし、「何から手をつければいいのか」「期限までに間に合うのか」と不安に感じている方も多いのではないでしょうか。


相続税申告と納付には10か月の期限があり、その間に遺産の調査・評価・分割協議・税額計算・申告書作成など、多くの手続きを進める必要があります。もし準備に漏れがあると、申告漏れや余計な税負担、延滞税や追加徴税が発生するおそれがあります。


そのため、限られた期限内で慎重に進めることが大切です。


本記事では、これから相続税の申告を行う方に向けて、手続きの流れや必要書類、申告時の注意点をわかりやすく解説します。相続税申告に向けて安心して手続きを進めるために、ぜひ最後までご覧ください。




相続税の申告が必要なケースとは



相続税はすべての相続に課税されるわけではありません。ここでは、相続税の申告が必要となる場合について整理しましょう。



相続税の申告対象


相続税の申告が必要になるのは、相続や遺贈、相続時精算課税制度による贈与などで取得した財産の合計額が、国で定められた基準額(=基礎控除額)を超える場合です。


つまり、相続などで受け取った財産を金額に換算した合計が、基礎控除額より多い場合には相続税の申告が必要になります。


反対に、その合計額が基礎控除額以下であれば申告の必要はありません。


※ただし、配偶者控除や小規模宅地等の特例などを適用して非課税になる場合でも、特例を受けるには申告書の提出が必要である点には注意が必要です。



相続税の計算方法


基礎控除額は次の計算式で求めます。

【基礎控除額の計算方法】

3,000万円 +(600万円 × 法定相続人の数)

たとえば、相続人が3人いる場合は、3,000万円 +(600万円 × 3)= 4,800万円 が基礎控除額になります。この場合、相続財産の合計が4,800万円を超えたときに、相続税の申告が必要です。



相続税申告の期限は「10か月」


相続税の申告期限は、相続が始まったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)から10か月以内です。この期間内に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ相続税申告書を提出し、納付も完了させる必要があります。


たとえば、1月15日に相続が発生した場合、翌年の11月15日が申告期限になります。 もしその日が土曜日・日曜日・祝日にあたる場合は、翌平日が申告期限です。


この10か月という期間は、財産の調査・評価、遺産分割の協議、申告書の作成などを行うには、思っている以上にあっという間です。もし期限を過ぎてしまうと、加算税や延滞税といったペナルティが課されることがあり、結果として想定外の税負担につながることもあります。


そのため、相続が発生したらできるだけ早めに準備を始め、期限内の申告・納付を確実に行うことが何より大切です。




相続税の申告の流れ|6ステップ



以下は、相続税を申告・納付するまでの代表的な流れです。

状況によって順番や必要な手続きが前後することもありますが、大まかな流れとしてご覧ください。


ステップ1:相続人の確定


相続手続きを始めるにあたって、最初に行うべきことは「誰が相続人なのかを明らかにすること」です。この確認を誤ると、後の遺産分割や相続税の計算にも影響が出てしまうため、最初の段階でしっかりと行うことが大切です。


被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本を取得し、法律上の相続人を特定します。戸籍をたどることで、前妻の子どもや認知された子どもなど、思わぬ相続人が判明する場合もあります。


なお、戸籍の取り寄せには時間がかかることもあるため、相続が発生したらできるだけ早めに手続きを始めることをおすすめします。


遺言書の有無もこの段階で確認しておきましょう。


【遺言書の確認方法】

遺言書の内容によっては、相続人の確定方法や遺産の分け方が変わる場合もあります。

そのため、法定相続人の確定と遺言書の確認をセットで行いましょう。




ステップ2:遺産・財産の調査・把握


相続税申告を進めるうえで、次に行うのが被相続人の遺産を正確に把握することです。預貯金や株式、土地や建物、生命保険金、死亡退職金などを含め、すべての財産を一覧表にまとめて整理します。


借入金や未払金、葬式費用といったマイナスの財産も忘れずに記載しましょう。


遺産の調査には時間がかかるため、できるだけ早めに資料を集めて進めることが大切です。金融機関の残高証明書や不動産の登記事項証明書、固定資産税評価証明書などをそろえる作業は、想像以上に時間を要します。


また、財産の申告漏れがあると、後日の修正申告や税務調査につながるおそれがあります。不明点や判断に迷う部分は、税理士などの専門家と確認しながら進めると安心です。


特に不動産の評価は複雑で専門性が高いため、不動産を含む遺産がある方は土地や建物の扱いに詳しい税理士に相談することをおすすめします。




ステップ3:遺産分割協議の実施と合意形成


遺産の内容を把握したら、次に相続人全員で遺産分割の話し合い(遺産分割協議)を行います。ここでは、誰がどの財産を相続するかを具体的に話し合い、相続人全員が納得する形にまとめることが最も重要です。


全員の合意が得られたら、その内容をまとめた「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印のうえ、印鑑証明書を添付します。この書類は、相続税申告の添付書類や不動産の名義変更にも必要になる大切な書類です。


【遺産分割協議の流れ】

(1)相続人全員で協議を行い、合意を形成する(最重要)

(2)合意内容を「遺産分割協議書」として書面にまとめる

(3)相続人全員が署名・押印する


ただし、話し合いが長引いたり意見が食い違ったりすると、申告期限に間に合わないおそれもあります。


そうした場合は、早めに税理士などの第三者を交えて調整を進めることで、冷静かつ円滑に協議をまとめることができます。なお、遺言書があった場合は「遺産分割協議書」は不要です。




ステップ4:税額の計算と控除・特例の適用


遺産分割の内容が決まったら、遺産総額から基礎控除を差し引き、課税対象となる金額(課税遺産総額)を算出します。


そのうえで、相続税率を適用して相続税の総額を計算します。また、配偶者控除や小規模宅地等の特例、未成年者控除、障害者控除などを適用することで税額を大幅に軽減できる場合があります。


ただし、これらの制度は適用条件が細かく定められているため、制度の正しい理解が必要です。




ステップ5:相続税申告書の作成と提出


計算結果をもとに、相続税申告書を作成します。遺産の内訳や評価額、適用した控除・特例の内容を正確に記載し、必要な添付書類を整えましょう。


相続税申告書は、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署へ提出します。


ただし、申告書は書類の種類が多く内容も複雑なため、内容に誤りがあると後から修正を求められることがあります。また、期限を過ぎて申告すると延滞税が課される可能性があるため、余裕をもって準備を進めることが大切です。




ステップ6:納付手続き


相続税の納付は、相続税申告書と同じく、被相続人が亡くなった日の翌日から10か月以内に原則として現金で一括納付します。


納付方法は、主に金融機関での支払いとなります。一部の郵便局では、相続税の納付を取り扱っていない場合があるため、事前に確認しておくと安心です。


このほか、税務署窓口やインターネットバンキングでも納付が可能です。

なお、一括納付が難しい場合には、分割払いの「延納」や不動産などで納税する「物納」といった制度もありますが、要件が厳しく実際に利用されるケースはごく限られています。




相続税の申告に必要な書類



相続税申告には多くの添付書類が必要です。主な必要書類は以下のとおりです。

【相続税申告に必要な書類例】※利用する控除や特例によって異なります。

  • 相続税申告書 国税庁の相続税の申告手続のご案内ページよりダウンロード可能です。

  • 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証など)

  • 被相続人の出生から亡くなるまでの戸籍謄本

  • 相続人全員の現在の戸籍謄本

  • 遺言書の写し、または、遺産分割協議書の写し

  • 印鑑証明書(遺産分割協議書に押印したもの)

  • 相続財産、債務、葬式費用に関する資料 ※それぞれの状況によって異なります。金融機関の残高証明書、通帳のコピー、固定資産税評価証明書、登記簿謄本、公図、測量図、賃貸借契約書、保険金の支払通知書、借入金の残高証明書、相続開始後に支払った医療費等の領収書、葬式費用の領収書など

相続税の申告に必要な書類は、国税庁のホームページより「相続税の申告書等の様式一覧」からダウンロードできます。


これらの書類は収集や作成に時間を要するため、専門家のアドバイスを受けながらできるだけ早く準備を始めることを推奨します。




相続税の申告に関する2つの注意点



相続税申告は、期限に追われながら多くの作業を進める必要があります。特に次の2つの点は注意が必要です。


1.評価額算定の誤り・見落としリスク


土地の評価は、相続税申告の中でも特に誤りが生じやすい部分です。

評価方法は路線価方式や倍率方式など複雑で、道路に面しているかどうか、土地の形状や利用状況など、細かな条件によって評価額が大きく変わります。


評価額を低く算定してしまった場合、「修正申告」を行うことになり、加算税や延滞税が生じる可能性があります。


一方で、評価額を高く算定してしまった場合は、本来支払う必要のない税金を余計に納めることになります。過大に納付した税金を取り戻すには、税務署へ「更正の請求」という手続きが必要となり、一般的には、審査に3か月~半年ほどかかります。


いずれの場合も、正確な評価ができていれば防げるリスクです。特に土地を含む遺産がある場合は、不動産評価に詳しい税理士に確認を受けながら申告することが安心です。




2.被相続人名義以外の財産の見落とし


名義にかかわらず、資金の出どころが被相続人である場合は、その財産も相続税の課税対象になります。


たとえば、被相続人が管理していた家族名義の預金口座や、贈与の実態がない名義預金、無記名の株式・公社債・投資信託なども、実質的に被相続人の財産とみなされます。


これらが申告から漏れると、過少申告となり修正申告が必要となるため注意が必要です。

相続財産を整理する際は、口座や証券の名義だけで判断せず、資金の出所や管理状況を慎重に確認する必要があります。




まとめ|相続税申告は相続に強い税理士とともに進めると安心です


本記事では、相続税申告に関する手続きの流れや必要書類、注意点までを解説しました。

相続税申告は10か月という限られた期限のなかで、遺産の調査・評価・遺産分割協議・書類作成などを正確に進める必要があります。


自分で進めることも可能ですが、手間やリスクを考えると大きな負担になるのが実情です。

特に「評価額算定」や「書類の準備」はミスが起こりやすく、申告漏れや余計な税負担の原因になりかねません。


したがって、相続税の申告・納付が発生した際は、経験豊富な税理士とともに進められると安心です。


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